離婚手続の流れ

夫婦がお互いに同意をすれば、離婚届を提出することにより離婚は成立します。他方、夫婦間で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停手続を利用することになります。調停手続では、調停委員が間に入り、1か月~2か月に1回、裁判所で離婚及びその条件(親権や財産分与等)について話し合いがされます。調停がまとまれば調書を作成した上で離婚が成立します。

調停で話し合いがまとまらない場合は裁判に進みます※。裁判では、夫婦の間に離婚原因があるかが判断されます。離婚原因については、民法770条に定めがあり、配偶者に不貞な行為があったか、配偶者から悪意で遺棄されていたか、配偶者の生死が3年以上明らかでないといえるか、配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないといえるか、上記以外に婚姻を継続しがたい重大な事由があるかといった点が判断されます。⑤については、性格の不一致、長期間の別居など様々な事情が考慮されます。

※大まかな条件が決まっているものの些細な条件で調停が成立しない場合に、裁判官が離婚条件を決定する審判手続きもありますが、異議が出されれば効力が失われてしまうこともあり現状あまり利用されていません。

協議離婚の注意点
離婚の際には、財産分与、婚姻費用、お子様の親権、面会交流、養育費、慰謝料、年金分割など決めることが数多くあります。しっかりと取り決めをしておかないと、後々揉めることになってしまいます。また、取り決めた条件を守ってもらえるよう、公証人という第三者の面前で公正証書を作成しておくことをお勧めします。公正証書を作成しておくことで、相手方が養育費等を支払わなかった場合に給与等を差し押さえることができ、回収できないリスクを軽減できます。ただし、公正証書作成に当たり、公証人とは複数回打ち合わせをする必要があります。
調停の流れ
調停は自分で行うこともできます。もっとも、期日は平日のみで1回2~3時間程度かかります。調停委員の方もサポートしてくれますが、あくまで中立な立場ですので、自分にとって有利な事情や希望条件はしっかりと伝える必要があります。
有責配偶者からの離婚請求
不倫、DVなど自ら離婚の原因を作った有責配偶者からの離婚が認められるかという問題がありますが、以下の要件を充たすのでなければ離婚は認められないというのが裁判所の考え方です。
①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること
②夫婦の間に未成熟の子が存在しないこと
③相手方配偶者が離婚により精神的・経済的・社会的に極めて過酷な状況におかれるなど離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと